会長挨拶
本学会は、我が国で提唱された機能性食品の概念に端を発し、医学のみならず農学、薬学、栄養学、歯学などの幅広い視点から、食品機能の究明とその臨床応用を図ることを目的としています。もともと機能性食品という言葉は我が国で使われ始めたものであるといわれ、欧米でも“functional food”として学会等で一般的に使われています。わが国では「特別用途食品」「特定保険用食品」「健康食品」という名称が使われていますが、本学会はこれらを科学的に研究し、科学的に実証された機能性食品の医用普及により国民の健康促進ならびに生活習慣病の予防に役立つことを願って設立されました。機能性食品の三次機能として位置づけられる生体調節、保護機能は、わが国の「医食同源」の考えを背景として近年急速に一般にも浸透しつつあり、本学会が果たす役割はますます重要になってきていると考えられます。
食品が有する様々な機能に関してはその成分について、作用するメカニズムの解析、含有量の分析、安全性の評価、さらには有用な機能をもつ食品の開発など、多くの解決すべき課題があります。これまでも、本学会の設立趣旨に従って食品の機能に関して様々なアプローチがなされてきましたが、 本総会では食品のもつ様々な作用について多角的にかつ科学的に検証することを目的としており、メインーテーマを「『食』を科学する!」といたしました。
近年、食品がおよぼす腸内細菌叢の変化が、癌をはじめ糖尿病や脳神経疾患におよぶ全身疾患の発症に影響していることが科学的に証明されつつあります。また、「機能性食品ゲノミクス」という用語で表現される、特定の食品を摂取した際の体内における標的組織で生じた遺伝子発現の変化を網羅的にとらえることも可能となってきています。このように、科学的原理に基づく機能性食品の特定機能は、生化学、生理学、分子生物学、およびその他最新のバイオサイエンスのデータに依拠してこそ、広く普及し、国民の健康的な生活に寄与するものであると考えております。
本学会を通して、機能性食品を多方面から科学的に議論されることを心より期待しております。
会長 吉川 敏一(京都府立医科大学 学長)